唾液のチカラ
11月28日は「いいつば」のごろ合わせでいい唾液の日なんだそうです。
今回は「唾液:つば」について少しお話したいと思います。
唾液は単なる口の中の水分ではありません。私たちの健康を陰で支える、驚くほど多機能な「スーパー液体」なのです。
<唾液の役割>
①食べ物の消化を助ける
唾液に含まれる酵素「アミラーゼ」が、ごはんやパンなどの炭水化物を分解し、消化の第一歩を助けます。しっかり噛むことで、消化の負担を減らします。
②お口の中を清潔に保つ
唾液は食事の残りカスや細菌を洗い流し、お口の中を清潔に保ちます。口臭予防にも一役買っています。
③感染症から守る
唾液に含まれる抗菌成分がウイルスや細菌の増殖を抑え、風邪やインフルエンザなどのお口から侵入する感染症から私たちを守ってくれます。
④むし歯・歯周病を予防する
唾液はお口の中の酸を中和し、歯の再石灰化を促すことでむし歯を防ぎます。また、唾液でお口が潤うことによって歯周病のリスクも低減します。
⑤味覚を豊かにする
食べ物の味を感じるためには、味覚成分が唾液に溶け出し、舌の味蕾に届く必要があります。日々のお食事をおいしく感じることができるのは唾液のおかげです。
<唾液からわかること>
唾液の分泌量は、加齢やすとれるによって大きく影響を受けます。睡眠不足や精神的なストレス、お薬の影響や加齢によって唾液の分泌量が減ってしまうことがあります。
「最近、口が乾きやすい」「食べ物が飲み込みにくくなった」「口の中がねばつく」といった症状を感じたら、唾液の分泌量が減少しているサインかもしれません。
沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究では、唾液中の代謝物を解析することによって加齢に伴う唾液の変化を明らかにしました。この代謝物は味覚や筋肉の活動に関連していることからフレイルや認知症などの疾患の早期発見に役立つ可能性があると期待されています。
ご自身の唾液の状態を知ることは、未来の健康を考える第一歩になります。

当院では「唾液検査シルハ」を導入しています。シルハは少量の唾液からむし歯菌や酸性度、緩衝能(酸を中和する力)、タンパク質、潜血、アンモニアを短時間で測定します。興味のある方はお声がけください。