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学校から歯科検診の紙が届いたら

学校から歯科検診の紙が届いたら

こんにちは。 したら歯科医院です。

いよいよ新緑の美しい5月がスタートしました。ゴールデンウィークの真っ只中、皆様どのようにお過ごしでしょうか? 4月の新生活や新学期が始まってから怒涛の1ヶ月が経ち、この連休でようやくホッと一息つかれている方も多いかと思います。慣れない環境で張り詰めていた緊張が緩む時期でもありますので、体調を崩されないよう、どうぞご家族でリフレッシュしてお過ごしくださいね。

今回は、この時期に各学校で順次実施される「学校の歯科健康診断」について、専門的な視点から詳しくお届けします。

長めのコラムとなりますが、大切なお子様の将来の健康を守るためのヒントをたくさん詰め込みましたので、ぜひ最後までじっくりとお読みいただけますと幸いです。

1. 5月前半の診療スケジュール(GW期間中のご案内)
まずは、当院のゴールデンウィーク期間中および5月前半の休診日・診療日についてご案内いたします。連休前後はご予約が大変混み合うことが予想されますので、受診をご検討中の方はあらかじめスケジュールをご確認の上、お早めにご連絡をいただけますようお願いいたします。

GW期間中の休診・診療日:

 5月3日(日)〜5月6日(水)は連休のため休診とさせていただきます。
 7日(木)は振替で診療いたします!

連休の間に「旅行先でお子様の詰め物が取れてしまった」「急に歯が浮くような感じや痛みが出てきた」といったトラブルが起きた場合も、連休明けにどうぞお早めにご連絡ください。新年度の疲れがドッと出やすいお口のメンテナンスや、しばらく定期検診が空いてしまっている方も、この機会にぜひお口の中をすっきりとクリーニングしにいらしてくださいね。

2. 春の「学校の歯科検診」、結果の用紙は届きましたか?
4月から5月にかけて、多くの幼稚園や保育園、小学校・中学校・高校では「学校歯科健康診断(歯科検診)」が一斉に行われます。 すでに4月中に健診が終わって「結果の紙」を連休前に持ち帰ってきた学校もあれば、連休が明けてから本格的に検査が始まり、これから用紙が配られる学校もあります。

さて、その結果用紙をお子様から手渡されたとき(あるいはこれから手渡されるとき)、おうちの方はいつもどこを一番にチェックされているでしょうか? 多くの方は「むし歯(C)があるかないか」を真っ先に見られるのではないかと思います。 「むし歯はゼロ(異常なし)だから、うちの子は今年も大丈夫ね!」 そう言って、用紙をそのまま引き出しに仕舞ってしまう……という光景は、どのご家庭でもよくあることです。

もちろん、むし歯の有無をチェックすることは非常に重要です。しかし、現代のお子様を取り巻くお口の環境において、「むし歯がゼロ」だからといって、本当に100%安心だと言い切れるでしょうか?

実は、近年の学校検診において、むし歯は一切ないのにもかかわらず、別の項目にハッキリとチェックがついてくるお子様が非常に増えています。 それが、「歯並び・かみ合わせ(不正咬合)」や、「歯垢(しこう:お口の汚れ)」「歯肉炎(しにくんえん:歯ぐきの腫れ)」という項目です。なぜ今、むし歯ではない項目での指摘が増えているのか、その背景とお口のSOSサインについて、掘り下げて解説していきましょう。

3. なぜ?「むし歯がないから大丈夫」とは言い切れない理由
学校で行われる集団検診は、お子様たちのお口の健康を維持するための素晴らしい制度です。しかし、これには「集団検診ならでは」の限界があることも、私たちは知っておかなければなりません。

学校の検診は、歯科医院の診療室のように、明るい無影灯(専用の強いライト)があり、患者様が寝た状態で、歯科医師が手元にミラーや探針、あるいはレントゲン機器を揃えて行うものとは大きく異なります。保健室などの限られた照明の下で、立ったまま、あるいはパイプ椅子に座ったお子様のお口を、歯科医師が数秒から数十秒というごく短い時間で目視(目で見るだけ)で確認していくのが基本です。

そのため、学校の集団検診だけでは、以下のような「隠れたリスク」や「初期症状」を見つけることが物理的に難しいのです。

① 歯と歯の間の「隠れむし歯」
歯の表面の分かりやすいむし歯は目視で見つかりますが、永久歯の後ろ側や、奥歯の「歯と歯がピタッと合わさっている隙間」にできたむし歯は、どれだけベテランの歯科医師が見ても、目視だけで発見するのは至難の業です。歯科医院に来院され、専用の高解像度レントゲン写真を撮影したり、拡大鏡(ルーペ)を使って強い光を当てたりして初めて、「あ、こんなに深いむし歯が隠れていたんだ」と発覚するケースが後を絶ちません。

② 新生活の乱れが出やすい「歯垢・歯肉炎」
4月からの新しい環境への進学・進級に伴い、朝の準備が忙しくなったり、夜の就寝時間が遅くなったりして、毎日の歯磨きが雑になっていませんか? 「自分で磨いているから任せている」という高学年のお子様は特に、奥歯の裏側や歯ぐきの境目には、ベッタリと白い「歯垢(プラーク)」が残っていることがよくあります。これを放置すると、子どもであってもあっという間に歯ぐきが赤く腫れ、出血を伴う「歯肉炎」を引き起こします。集団検診で「歯垢」や「歯肉」にチェックがつくということは、毎日のブラッシング効率が落ちており、いつむし歯が大爆発してもおかしくないという警告なのです。

③ 最も増えている「歯並び・かみ合わせ」の指摘
「むし歯はゼロだけど、歯並びにチェックがついていた。でも、まだ乳歯だし、そのうち綺麗に生え変わるだろうから様子を見よう」 これは非常にもったいない判断です。なぜなら、乳歯から永久歯への生え変わりが起きるまさに「今」この時期こそが、お子様のあごの骨が成長する最大のチャンスであり、このタイミングを逃すと、将来的に大がかりな抜歯矯正が必要になってしまうリスクが高まるからです。

4. 歯並びの乱れを引き起こす根本原因:「お口ぽかん」の恐怖
では、なぜ現代のお子様はこれほどまでに「歯並び」や「かみ合わせ」の項目で引っかかってしまうのでしょうか? その根本的な原因として、私たち歯科医師や歯科衛生士、お口の機能訓練を行う専門家が最も危惧しているのが、「口呼吸(通称:お口ぽかん)」です。

ぜひ、お子様の普段の様子を思い出してみてください。

テレビを集中して見ているとき、お口が「ぽかん」と開いていませんか?
スマートフォンやゲーム、タブレットを操作しているとき、下あごが下がっていませんか?
勉強しているときや、本を読んでいるとき、鼻ではなく口で息をしていませんか?
寝ているときに、いつもいびきをかいていたり、口を開けて寝ていたりしませんか?
「まだ子どもだし、よくある微笑ましい光景だな」と思われるかもしれません。しかし、医学的に見ると、この「お口ぽかん」は決してお気楽に見過ごしていいものではありません。お口の周りの筋肉(口唇圧や舌の筋力)が著しく弱っている、あるいは正しく機能していないことを示す、非常に危険なお口のSOSサインなのです。

お口が常に「ぽかん」と開いてしまい、鼻呼吸ではなく口呼吸が常態化すると、お子様の身体とお口には、まるでドミノ倒しのように以下のような悪影響が次々と押し寄せます。

デメリット1:むし歯・口臭・歯肉炎の圧倒的なリスク増加
本来、人間のお口の中は「唾液(だ液)」によって常に潤されています。唾液には、お口の中の汚れを洗い流す「自浄作用」や、細菌の繁殖を抑える「抗菌作用」、そして初期むし歯を修復する「再石灰化作用」という、天然のバリア機能が備わっています。 しかし、お口が常に開いていると、入ってきた空気によってお口の中がカラカラに乾燥してしまいます。すると唾液が干からび、バリア機能が完全にストップしてしまうのです。その結果、むし歯菌や歯周病菌が爆発的に繁殖し、むし歯になりやすく、口臭が強くなり、歯ぐきがブヨブヨに腫れるという最悪の環境が完成してしまいます。

デメリット2:あごが育たず、歯がガタガタに並ぶ(不正咬合の発生)
「歯並びは、遺伝だけで決まる」と思っていませんか?実は、綺麗な歯並びになるかどうかは、遺伝だけでなく、「お口の周りの筋肉のバランス」が部屋の壁の役割を果たすことで決まります。 正しい鼻呼吸ができている子は、口がピッタリと閉じ、舌の先が上あごの天井(スポットと呼ばれる位置)にグッと押し当てられています。この「内側から舌が押し出す力」と「外側から唇や頬が押さえる力」のバランスが調和することで、上あごの骨が横に大きく、綺麗にU字型へと成長します。あごがしっかり育てば、大人の大きな永久歯が12本、きれいに並ぶための「十分なスペース(座席)」が確保できるのです。

しかし、「お口ぽかん」の子はどうでしょうか。口が開くと、舌は上あごの天井から離れ、下の方(底のほう)へダラリと落ちてしまいます(低位舌)。すると、上あごを内側から広げてくれる力がゼロになるため、頬からの圧迫ばかりが強くなり、上あごが横に広がらず、狭い「V字型」に変形してしまいます。 スペース(座席)が狭くなってしまったあごに対して、大きな永久歯が次々と生えてくるとどうなるか……。当然、座席が足りないため、歯が前後に重なり合ったり、八重歯として飛び出したり、斜めに生えたりせざるを得なくなります。これが、学校検診で指摘される「歯並び・かみ合わせの異常」の正体なのです。

デメリット3:風邪やアレルギーを引きやすくなり、全身の健康に悪影響
鼻は、優秀な「空気清浄機」です。鼻から息を吸うことで、鼻毛や粘膜がフィルターとなり、空気中のゴミやウイルス、細菌、花粉などの侵入をブロックし、加湿・加温された綺麗な空気が肺に送られます。 一方、口呼吸は「フィルターなしの掃除機」と同じです。ウイルスや細菌、冷たく乾燥した空気が、直接のどの奥(扁桃リンパ組織)を直撃します。そのため、お口ぽかんのお子様は、風邪を引きやすかったり、アレルギー性鼻炎になりやすかったり、気管支喘息などの呼吸器疾患を引き起こしやすくなったりと、全身の免疫力低下に直結してしまうのです。

5. 当院の強み:お口の土台から治す「MFT(口腔筋機能療法)」と食育への取り組み
もし、学校からの検診用紙に「歯並び」や「かみ合わせ」にチェックがついていたとしても、どうか悲観しないでください。また、「高額な本格矯正(ワイヤー矯正など)をすぐに始めなければいけないの?」と身構える必要もありません。

当院がお子様たちの治療において最も大切にしているのは、「なぜその歯並びになってしまったのか」という、根本的な原因にアプローチすることです。歯がガタガタに並んでいるのは、単に歯の生え方が悪いのではなく、それを支える「あごの骨の成長不足」や「お口の周りの筋肉の弱さ」が原因です。その土台を無視して、無理やりワイヤーで歯だけを並べ替えても、治療後に口を閉じる習慣がついていなければ、装置を外した途端に歯は元のガタガタな位置へと逆戻り(後戻り)してしまいます。

そこで当院では、お口の周りの筋肉や舌の動きを正しく整えるためのトレーニングプログラム「MFT(口腔筋機能療法)」に非常に力を入れています。

MFT(口腔筋機能療法)とは?
MFTとは、いわば「お口の筋トレ・ストレッチ」です。 当院の専門スタッフがお子様の状態に合わせて、以下のようなトレーニングを楽しく、ステップバイステップで指導いたします。

舌を正しい位置(上あごの天井)に持ち上げるためのトレーニング
唇の力を鍛え、意識しなくても自然とお口がクローズできるようにする練習
正しい飲み込み方(嚥下:えんげ)の習得(正しく飲み込めないと、舌で前歯を押し出してしまい、出っ歯の原因になります)
このMFTを子どもの成長期(特に乳歯と永久歯が混ざり合う混合歯列期)に適切に行うことで、あごの骨の正常な発育を促し、人間が本来持っている「自力で綺麗に歯を並べる力」を引き出すことができます。結果として、将来的に本格的な矯正が必要なくなった、あるいは矯正を行うことになっても期間を大幅に短縮でき、抜歯の手間を減らせたという劇的なメリットが生まれます。

毎日の食事からあごを育てる「食育」のアドバイス
さらに当院では、診療室の中だけでなく、ご家庭での「食事の摂り方」に関する食育アドバイスも行っています。現代の食事は、ハンバーグやカレー、パスタ、柔らかいパンなど、あまり噛まなくても飲み込める「軟食(なんしょく)」が増えています。これが、子どものあごの発育不足に拍車をかけています。

食事のときは、足をしっかりと床につけて姿勢を正して座る(体幹がブレると噛む力が弱まります)
食材を少し大きめ・粗めにカットして、自然と噛む回数(咀嚼回数)を増やす工夫をする
水分で食べ物を流し込む癖をなくし、しっかりお口の中で噛んでから飲み込む
このような、毎日のちょっとした生活習慣の改善(食育)とMFTを組み合わせることで、お子様の噛む力、育つ力を最大限にサポートしていきます。

6. 結果用紙は「お子様の将来の健康を見直す、最高のチャンス」
学校から検診用紙を持ち帰ってきて、そこに「要受診」や「異常あり」のチェックがついていると、親御様としては少しドキッとされるかもしれません。「うちの子のケアが足りなかったのかな」と、ご自身を責めてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、私たちはこうお伝えしています。 「学校の検診用紙は、お子様の将来の健康を守るための、最高のチャンスを教えてくれたお手紙ですよ」と。

子どものお口の成長スピードは、大人が想像するよりもはるかに早いです。あごの骨が劇的に成長するゴールデンタイムは、一生のうちで「今」しかありません。大人になってから骨格的な噛み合わせを直そうとすると、あごの骨を切るような大がかりな外科手術が必要になることもありますが、子どものうちであれば、お口の筋トレ(MFT)や簡単な装置を用いて、自然に、かつ健康的にリカバリーしていくことが十分に可能です。

用紙にチェックがついているのは、決して悪いニュースではなく、「今、プロの目でしっかりチェックしてもらうことで、将来の大きなトラブルを未然に防げる大チャンス」が訪れたということです。

「検診結果は『斜線(異常なし)』だったけれど、本当にむし歯や隠れた問題はないのかな?」
「歯並びにチェックがついてしまったけれど、具体的に何から始めればいいの?」
「うちの子、そういえばいつもお口ぽかんとしているけれど、これってMFTが必要?」
「学校の紙をなくしてしまったけれど、診てもらえる?」
どんなに些細な疑問や不安でも構いません。学校から用紙をもらってこられましたら、時期を問わず、用紙をそのままにせず当院へお気軽にお持ちください。 当院のスタッフ一同、丁寧なカウンセリングと精密な診査を行い、お子様一人ひとりの成長ステージに合わせた最適な予防・治療プランをご提案いたします。

 

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。 お口の健康は、全身の健康、そしてお子様の輝く未来の笑顔へと直結しています。まずはこのゴールデンウィーク期間中、ご家族で美味しいものをたくさん食べて、たくさん笑って、楽しい思い出をたくさん作ってくださいね。その際、もしよろしければ、お子様がリラックスしているときのお口元を、そっと観察してみてください。

連休が明け、また一回り大きくなった元気なお子様たち、および地域の皆様にお会いできるのを、ドクター、歯科衛生士、スタッフ一同、心より楽しみにお待ちしております!どうぞ素晴らしい連休をお過ごしください。

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