口腔機能発達不全症
今日は境総合文化センターで土岐 志麻先生による「口腔機能発達不全症への対応」の学術講演会がありました。
したら歯科医院のスタッフも休日を返上して大勢が参加しました。とても勉強になる講演で、講演後も参加者同士での話が弾みました。
口腔機能発達不全症とは
口腔機能発達不全症は、「食べる機能」「話す機能」「その他の機能」が十分に発達していない、あるいは正常に機能していない状態を指し、専門的な介入を必要としています。
わかりやすく言い換えるとお口の機能の発達がやや遅れている状態ですので早期に発見して良いタイミングで介入すれば正常な発達へと導くことが可能です。
口腔機能発達不全症のチェックリスト
▢ 歯の萌出遅延
歯が生えるのが乳歯で6か月以上、永久歯で1年以上遅い場合
▢ 食の問題
食べる量にばらつき、強い偏食、小食、飲み込みに時間がかかる、よく噛まずに飲み込むなど
▢ 口呼吸(口唇閉鎖不全)
いつもお口をぽかんと開けている
▢ 口腔習癖
指しゃぶり/おしゃぶりの常用/タオルなどをしゃぶる/つめや鉛筆などをかむ/くちびるをかむ・吸う/会話時に舌が前に出てくる/飲み込むときに舌を前にだす/舌低位/頬杖をつく など
▢ 発音(構音)障害
発音が正しくできない(舌足らず)
▢ いびき、睡眠時無呼吸症候群
鼻づまり・口呼吸・扁桃腺肥大などによるいびき、睡眠時無呼吸症候群
上記のチェックリストで当てはまっているものがあると、口腔機能発達不全症の恐れがあります。口腔機能発達不全症は自然治癒が難しいので、お子さんに気になる症状がある場合は早めにご相談ください。
口腔機能発達不全症の治療方法
口腔筋機能療法(MFT)
口腔筋機能療法は、お口の周りの筋肉や舌を鍛えるトレーニングです。舌の正しい位置を覚え口周りの筋肉を育てることで発音・咀嚼の問題、お口ポカンを治していきます。
歯列矯正を行う
歯並びが原因で口腔機能発達不全症を引き起こしている場合は歯列矯正を行います。歯並びやかみ合わせの改善で食事のしにくさや発音の不明瞭を改善します。
また、小児の歯列矯正では、顎の発達を促して永久歯が正しい位置に生えるようにサポートします。将来的な歯並びの悪化を防げるなど、メリットも多いでしょう。
言語療法
歯科医師だけでなく言語聴覚士によるトレーニングが必要な場合があります。
口腔機能発達不全症を予防する方法
口腔機能発達不全症を予防するためには、日常生活での悪習慣や環境を改善する必要があります。
姿勢を正す
口腔機能発達不全症の予防には、正しい姿勢を保つことは重要な課題になります。特に背中を丸めた猫背は口呼吸を助長します。正しい姿勢をするためには座る際は足の裏がしっかりと床につくような椅子を使いましょう。
鼻呼吸を習慣化する
お口で呼吸する癖がつくと、舌の位置は下がり口腔内が狭くなります。アレルギーなどの疾患がある場合は耳鼻科との連携が必要です。
バランスの良い食事をとる
成長期のお子さんにはカルシウム、ビタミンD、タンパク質など、たくさんのの栄養素が必要です。また、咀嚼を促すために食物繊維の豊富な野菜や果物、適度な硬さのある食べ物も積極的に取り入れましょう。しっかりかむことで顎が発達し口腔機能が強化します。
定期的に歯科検診を受ける
口腔機能発達不全症の早期発見のために歯科検診を受けましょう。お子さんの場合は良いタイミングでの指導が重要です。
大人も、年齢とともに口腔機能が低下することもあります。検診で口腔内の健康を確認しましょう。